理想はある。でも、お金がない。

資本金はたったの100万円

LISONO LIFEを立ち上げ、いすみ再生プロジェクトを始めました。

使われなくなった建物を、もう一度人が集まる場所へ。

賃貸、宿泊、店舗、RVパーク。

一つの古い不動産から、地域に新しい人と仕事とお金の流れをつくる。

そして、いすみで得た経験を仕組みにして、いつか日本各地の遊休不動産を再生していく。

理想はいくらでもあります。

やりたいことも、たくさんあります。

でも今、LISONO LIFEには非常にシンプルで、そして大きな問題があります。

お金がありません。

資本金、100万円。

LISONO LIFEは、まだ始まったばかりの小さな会社です。

資本金は100万円。

1,000万円ではありません。

100万円です。

もちろん、最初から潤沢な資金を持って始めた会社ではありません。

本業を持ちながら不動産投資を続け、その延長線上で「もっと大きな再生に挑戦したい」と始めた会社です。

だから、最初から分かっていました。

やりたいことに対して、資金が圧倒的に足りないことは。

それでも、まず物件を取得して、できるところから少しずつ直していけばいい。

そう考えていました。

ところが、いすみの物件は、そんなに甘くありませんでした。

最初に待っていたのは、壮大な雨漏りでした。

物件を取得した時点で、建物に雨漏りがあること自体は把握していました。

築年数を考えれば、ある程度の修繕が必要になることも覚悟していました。

問題は、その規模でした。

雨の日。

建物の中を確認すると、想像していた「雨漏り」とは少し違う光景がありました。

天井の一部にシミがある。

ポタ、ポタ、と水が落ちている。

そんなレベルではありません。

建物の複数箇所から水が入り込んでいました。

上から水が入り、天井を伝い、室内へ落ちてくる。

せっかく内装を直しても、屋根から水が入り続ければ意味がありません。

壁を塗っても、床を張っても、その上からまた雨が入ってくる。

つまり、部屋の再生よりも何よりも先に、

建物そのものを守らなければならない。

いすみ再生プロジェクトの最初の仕事は、華やかな客室づくりでも、森の開拓でもありませんでした。

雨漏りを止めることでした。

そして、最初の見積もりが届きました。

専門業者に現地を確認してもらい、屋上防水工事の見積もりをお願いしました。

大きなRCの屋上です。

それなりのお金がかかることは覚悟していました。

100万円。

もしかしたら200万円。

そのくらいは必要なのかもしれない。

そう思いながら、届いた見積書を開きました。

そこに書かれていた金額は、

約700万円。

でした。

700万円。

物件の取得価格は500万円です。

そして、

LISONO LIFEの資本金は100万円です。

数字を並べると、なかなか強烈です。

物件取得価格 500万円。

会社の資本金 100万円。

そして、

屋上防水工事 約700万円。

しかも、700万円を払えば施設が完成するわけではありません。

雨漏りを止める。

ただ、そのための金額です。

その数字を見た瞬間、

かなり本気で思いました。

「早くも、この会社は終わったかもしれない。」

まだ、何も始まっていない。

会社をつくった。

物件を取得した。

ホームページをつくった。

事業計画も考えた。

この場所をどう再生するか、何度も考えてきました。

DIY賃貸。

宿泊。

店舗。

RVパーク。

地域の商品づくり。

そして、いつかこの仕組みを別の地域へ。

頭の中には、いくらでも未来があります。

でも、目の前にある見積書には700万円と書いてある。

地域再生。

遊休不動産活用。

地方創生。

どれだけ立派な言葉を並べても、

雨は止まりません。

700万円を用意できなければ、そもそもスタートラインにも立てない。

会社をつくって、いきなり最初の工事で資本金の7倍。

正直、かなり絶望しました。

それでも、一枚の見積書で終わりにはしたくなかった。

少し冷静になってから考えました。

本当に、700万円しか方法がないのだろうか。

もちろん、必要な工事を素人判断で削るつもりはありません。

安ければ何でもいいわけでもありません。

でも、

一社の見積もりだけで、このプロジェクトを諦めていいのか。

それも違うと思いました。

そこから、別の業者を探し始めました。

電話をする。

建物の状況を説明する。

現地を見てもらう。

屋上に上がってもらう。

施工方法を聞く。

そして、見積もりをお願いする。

一社で終わらず、また次の会社へ。

会社員として働きながら、空いている時間を使って繰り返しました。

話を聞くうちに、少しずつ防水工事についても分かるようになってきました。

既存の防水層をどう扱うのか。

どこまで補修するのか。

どんな工法を採用するのか。

業者によって、考え方が違う。

つまり、

「屋上防水工事」という同じ名前の工事でも、必ずしも中身は同じではありません。

ただ安い会社を探すのではなく、

必要な性能を確保しながら、現実的な金額で施工できる方法はないか。

それを探し続けました。

そして、何社かに現地を見てもらった後。

ようやく、

「これなら前に進めるかもしれない」

と思える提案にたどり着きました。

約250万円。

提示された金額は、

250万円台。

最初の700万円から、

約450万円下がりました。

700万円の見積書を見て、

「会社が終わったかもしれない」

と思ったところから、

ようやく、

「これなら、なんとかできるかもしれない。」

というところまで戻ってきました。

もちろん、250万円も大金です。

資本金100万円の会社ですから、まだ自力で簡単に払える金額ではありません。

また、一番安ければいいという話でもありません。

施工内容や保証、建物の状態を確認した上で判断する必要があります。

それでも、

700万円しか道がないと思っていたところに、

別の道が見つかった。

この経験は、かなり大きなものでした。

そして同時に、

「なぜ同じ建物の防水工事で、ここまで金額が違うのだろう」

という新しい疑問も生まれました。

この話については、また別の記事で詳しく書こうと思います。

しかも、雨漏りだけではありません。

さらに厳しいのは、250万円を払えばプロジェクトが完成するわけではないことです。

むしろ、それはスタート地点です。

井戸があります。

浄化槽があります。

12戸ある部屋も直さなければなりません。

森も整備しなければなりません。

宿泊施設をつくるなら、家具や設備も必要です。

RVパークをつくるなら、土地や電源などの整備も必要になります。

そして当然、建物を運営していくためのお金も必要です。

やりたいことを全部積み上げて、一気に完成させようとすれば、とても今のLISONO LIFEが出せる金額ではありません。

ここで初めて、

「やりたいこと」と「できること」を、本気で分けて考えなければならなくなりました。

理想だけなら、誰でも描ける。

地域を再生する。

遊休不動産を活用する。

地方創生に貢献する。

言葉にすると、とても綺麗です。

完成予想図を描けば、もっと綺麗です。

森の中に車が並び、人が集まり、建物には宿泊客がいて、小さな店舗が営業している。

そんな未来を描くことはできます。

でも、現実の建物の前に立つと、そんな綺麗な話だけでは前に進みません。

雨漏りを止めるには、お金がかかる。

井戸が壊れていれば、直さなければならない。

浄化槽に問題があれば、それも直さなければならない。

そして、それらのお金を誰が出すのか。

ここを解決できなければ、

どれだけ立派な理念を掲げても、理想は理想のまま終わります。

LISONO LIFEが本当に再生事業をやる会社になれるのか。

それとも、壮大な構想を語っただけで終わるのか。

最初の大きな分岐点に来ています。

だから今、資金調達に走り回っています。

現在、私がかなりの時間を使っているのが、資金調達です。

金融機関からの融資。

日本政策金融公庫。

自治体や国の制度融資。

補助金・助成金。

そして、事業の内容によってはクラウドファンディングの可能性もあります。

使える可能性のある制度を調べ、事業計画をつくり、収支を計算し、資料を直す。

「いくら借りられるか」だけではなく、

何にいくら使うのか。

その投資によって、いくら売上が生まれるのか。

どうやって返済するのか。

なぜ、この事業をいすみでやる意味があるのか。

一つひとつ、数字と言葉にしています。

会社員として働きながら進めているので、使える時間も限られています。

平日の夜や休日を使って、資料をつくる。

施工業者と話す。

見積もりを取る。

金融機関に相談する。

そして、また事業計画を直す。

今は、そんな毎日です。

お金がないなら、順番を考える。

一方で、資金がないことは悪いことばかりではないのかもしれません。

もし最初から何千万円もの資金があれば、

建物を全部綺麗にして、

12部屋を一気に改装して、

森も全部整備して、

立派な施設をつくっていたかもしれません。

でも、それが本当に正しいのかは分かりません。

誰も使わなければ、ただお金をかけて綺麗にしただけです。

資金が限られているからこそ、

何を最初に直すべきか。

何がお金を生むのか。

何は自分でできるのか。

何は後回しにできるのか。

徹底的に考える必要があります。

まず、建物を守る。

次に、小さく収益を生む。

そこで得たお金を、次の再生に回す。

そして少しずつ、使える場所を増やしていく。

最初から100点の施設をつくるのではなく、

10点を20点に、20点を40点に、40点を60点にする。

今のLISONO LIFEには、そのやり方の方が合っているのかもしれません。

このJOURNALでは、お金の話も隠しません。

これから、このJOURNALでは再生の過程を記録していきます。

そして、できる限り「お金の話」も書いていこうと思っています。

工事はいくらだったのか。

見積もりはいくら違ったのか。

どこまでDIYしたのか。

どこにお金をかけ、どこは削ったのか。

融資は受けられたのか。

補助金は使えたのか。

そして、この事業は本当に利益を生むのか。

地方創生や不動産再生という言葉の裏側には、必ずお金があります。

事業である以上、そこから逃げることはできません。

利益が出なければ、続けることもできません。

だから、綺麗な完成写真だけではなく、

そこに至るまでに、いくら必要だったのか。

それも含めて記録していきたいと思っています。

理想を、理想で終わらせないために。

資本金100万円。

屋上防水だけで、最初に出てきた見積もりは700万円。

正直、

早くも終わったと思いました。

でも、諦めずに何社にも相談し、

ようやく250万円台という現実的な選択肢までたどり着きました。

それでも、その先には井戸、浄化槽、客室、森の整備が待っています。

今のLISONO LIFEにとって、簡単な金額ではありません。

むしろ、かなり厳しい。

それでも、この物件を諦めるつもりはありません。

なぜなら、このプロジェクトで試したいのは、

「潤沢なお金がある人なら、古い不動産を再生できる」

ということではないからです。

限られた資金の中で、優先順位を決める。

使える制度を探す。

必要なところには、きちんとお金をかける。

自分でできるところは、自分でやる。

小さく収益をつくり、そのお金を次の再生へ回す。

それを繰り返して、本当に一つの場所を蘇らせることができるのか。

いすみで、それを実際に試してみます。

数年後、この場所がどうなっているのか。

今の私にも分かりません。

もしかしたら、この先もっと大きな問題が出てくるかもしれません。

でも少なくとも今は、

理想を描いて終わるのではなく、

理想を現実にするためのお金を集める。

そこからです。

LISONO LIFE。

資本金100万円。

最初の屋上防水見積もり、700万円。

なかなか厳しいスタートになりました。

でも、たぶん。

このくらいの方が、物語としては面白い。

いすみ再生プロジェクト。

まずは、この雨漏りを止めるところから始めます。