こんにちは。
LISONO LIFE代表です。
前回の記事では、千葉県いすみ市で始まる、LISONO LIFE最初の再生プロジェクトについて書きました。
今回は少し時間を遡って、私自身のこと、そしてなぜLISONO LIFEという会社を始めようと思ったのかを書いてみたいと思います。
はじまりは、会社員の不動産投資でした。
私は、不動産会社や建築会社の出身ではありません。
普段は会社員として働いています。
不動産を始めたのは、今から約5年前。
最初から「地域を再生したい」といった大きな構想があったわけではありません。
きっかけは、もっとシンプルでした。
会社員として働きながら、給与とは別の収入をつくりたい。
その選択肢の一つとして、不動産投資に興味を持ちました。
物件を探して、収支を計算して、買う。
必要なところを直して、入居者を募集して、家賃をいただく。
最初は純粋に「投資」として不動産を見ていました。
ところが、実際に自分で物件を持ってみると、不動産は数字だけではありませんでした。
設備が壊れる。
入居者が退去する。
想定していなかった修繕が発生する。
業者から見積もりを取り、工事内容を考え、時には自分で壁を塗ったり、床を張ったりする。
そうやって一つひとつ問題を解決していくと、少しずつ物件の状態が良くなっていきます。
そして、誰も住んでいなかった部屋に、また人が暮らし始める。
この過程が、思っていた以上に面白かったのです。
「古い」と「価値がない」は、同じではない。
不動産を続ける中で、特に興味を持つようになったのが、古い物件でした。
築年数が経っている。
設備も古い。
内装も傷んでいる。
市場では、どうしても評価されにくくなります。
もちろん、本当に寿命を迎えた建物もあります。
でも実際に古い物件を見ていると、
「これは本当に価値がないのだろうか」
と思うことが増えていきました。
壁が汚れていれば、塗ればいい。
床が傷んでいれば、張り替えればいい。
設備が古ければ、必要なところから交換すればいい。
そして、今の用途では使われなくなったとしても、使い方そのものを変えればいい。
少し手を加えるだけで、それまで誰にも選ばれなかった部屋に人が住み始めることがあります。
同じ建物なのに、手を入れる前と後では、まるで価値が変わる。
そこで気づいたことがあります。
価値がなくなったのではなく、価値が見えなくなっているだけの不動産がある。
古いものを新しくすることよりも、
「すでにあるものの中から、まだ残っている価値を見つけること」。
次第に、そこに面白さを感じるようになりました。
不動産を「貸す」だけでは、少しもったいない。
一般的な不動産投資は、とてもシンプルです。
物件を買い、必要な修繕をして、人に貸す。
そして家賃をいただく。
これは今でも、不動産事業の基本だと思っています。
一方で、いろいろな物件を見るようになると、それだけでは説明できない不動産にも出会うようになりました。
例えば、建物の横に大きな土地がある。
使われていない倉庫がある。
空き店舗がある。
山や森がある。
こうした場所を「賃貸住宅」としてだけ評価すると、使えない部分がたくさん残ります。
でも、
ここに泊まる人がいたらどうだろう。
ここで小さな店を始める人がいたらどうだろう。
この土地に車で旅をする人が滞在できたらどうだろう。
地域の商品を売る場所ができたらどうだろう。
そう考えていくと、一つの不動産からいくつもの可能性が見えてきます。
不動産そのものの価値だけではなく、「そこで何ができるか」まで含めて価値を考える。
これが、今のLISONO LIFEにつながる考え方の原点になりました。
そして、いすみの物件に出会いました。
そんなことを考え始めた頃、千葉県いすみ市の物件に出会いました。
築年数を重ねたRCの建物。
12戸の部屋。
その横には、約3,000㎡の土地と森があります。
価格は500万円。
数字だけを見ると、とても安い物件です。
でも、当然ながら理由があります。
屋上からは雨漏り。
井戸も確認が必要。
浄化槽も整備が必要。
長い間十分に使われてこなかった土地や森もあります。
建物も土地も、そのままですぐに使える状態ではありません。
普通の収益不動産として考えれば、かなり癖のある物件です。
それでも、現地を見ながら考えました。
12戸すべてを普通の賃貸住宅にする必要はない。
住みたい人には、DIYもできる賃貸住宅として使ってもらう。
一部は、いすみを訪れる人が泊まれる場所にする。
空いているスペースには、小さな店や仕事が生まれるかもしれない。
森や土地には、車で旅をする人が滞在できる場所をつくれるかもしれない。
そして、そこで生まれた商品や体験を、地域の新しい価値として外へ届けられるかもしれない。
一つひとつを見ると問題の多い物件です。
でも、建物、土地、森、地域を一つとして見ると、まったく違う可能性が見えました。
これは単なる「安い収益物件」ではなく、自分がこれまで考えてきたことを試せる場所なのではないか。
そう思ったことが、いすみ再生プロジェクトの始まりです。
不動産投資から、「再生事業」へ。
いすみの物件を考えていくうちに、自分の中でも少しずつ目的が変わっていきました。
良い物件を買って、家賃収入を増やす。
それだけではなくなりました。
どうすれば、使われなくなった不動産をもう一度使える場所にできるのか。
どうすれば、大きなお金をかけすぎずに再生できるのか。
どこまで直して、どこを残すべきなのか。
賃貸、宿泊、商業、観光など、複数の用途をどう組み合わせれば持続的な事業になるのか。
地域の人や事業者と、どんな関係をつくればいいのか。
そして、一つの地域で得た経験を、どうすれば別の地域でも使える形にできるのか。
考える対象が、「一つの物件」から「再生の仕組み」へと広がっていきました。
そこで、この取り組みを個人の不動産投資の延長ではなく、一つの事業として育てていこうと考えるようになりました。
そのためにつくったのが、LISONO LIFEです。
LISONO LIFEがつくりたいもの。
LISONO LIFEが目指しているのは、新しい建物を次々につくることではありません。
日本には、すでにたくさんの建物があります。
家もあります。
アパートもあります。
店舗もあります。
そして、その横には、使われなくなった土地や森もあります。
人口が減り、空き家や遊休不動産が増えていく中で、これから必要になるのは、
「新しく何をつくるか」
だけではなく、
「すでにあるものを、どう使い直すか」
という視点ではないかと考えています。
その場所に合った使い方を考え、必要なところだけに手を入れる。
住む場所、泊まる場所、働く場所、遊ぶ場所、商いをする場所。
一つの用途だけでは成立しなくても、いくつかの小さな用途を組み合わせることで、もう一度その場所に人とお金の流れをつくる。
そして、それが地域の中で長く続く事業になる。
そんな再生をつくっていきたいと思っています。
いすみは、最初のPrototypeです。
だから、いすみ再生プロジェクトの目的は、一つの物件を成功させることだけではありません。
ここで実際に試してみます。
工事にいくらかかるのか。
どこまでDIYできるのか。
宿泊施設として本当に使ってもらえるのか。
DIY賃貸という選択肢を選ぶ人はいるのか。
森や土地をどう活用すれば、人が訪れるのか。
地域の事業者と、どんな取り組みができるのか。
当然、うまくいかないこともあると思います。
むしろ、最初からすべてうまくいくとは考えていません。
試して、失敗して、直す。
もう一度試す。
そこで得た数字や経験を残す。
そうやって、再生の方法そのものを少しずつつくっていきます。
そして、いすみで得た知恵を、いつか別の地域でも使えるものにしていく。
LISONO LIFEにとって、いすみは完成品ではありません。
最初のPrototypeです。
まだ、始まったばかりです。
LISONO LIFEは、まだ小さな会社です。
いすみの物件も、完成した施設ではありません。
今も雨漏りがあります。
森もこれから整備します。
部屋もこれから直します。
井戸も、浄化槽も確認しなければなりません。
ホームページに載せられるような、綺麗な完成写真もまだほとんどありません。
でも、だからこそ今から記録しておこうと思っています。
完成した建物だけを見せるのではなく、
なぜこの物件を選んだのか。
何を直したのか。
いくらかかったのか。
どんな失敗をしたのか。
その失敗から何を変えたのか。
そして、少しずつ場所が変わっていく過程そのものを、このJOURNALに残していきます。
私自身も、最初から再生事業の専門家だったわけではありません。
会社員として働きながら、小さな不動産投資を始めたところがスタートでした。
そこから、一つずつ物件と向き合ってきました。
そして今、その延長線上にLISONO LIFEがあります。
古いものに、新しい役割を。
まずは、いすみから。
ここで一つずつ試しながら、LISONO LIFEという会社自体も育てていきたいと思います。

