第18話|古い部屋を、旅人が泊まる場所へ。

旧教員宿舎の一部は、

宿泊に使いたいと考えています。

つまり、

民泊・宿泊施設です。

でも、

ただベッドを置いて、

予約サイトに載せればいい、

とは思っていません。

ここへ泊まる理由が必要です。

島根で泊まって、初めて分かったこと。

今回の島根旅行。

朝から、

出雲大社へ行く。

蕎麦を食べる。

旧大社駅へ行く。

日御碕へ向かう。

別の日には、

玉造を歩く。

石見銀山へ行く。

美術館を見る。

その途中に、

泊まる場所があります。

宿は、

旅の目的地でもありますが、

同時に、

地域を回るための拠点でもあります。

ここが、

いすみの宿泊を考える上で、

大きなヒントになりました。

旧教員宿舎だけで勝負しなくていい。

築46年の旧教員宿舎を、

高級ホテルのようにする。

たぶん、

この方向では勝てません。

でも、

いすみには、

旧教員宿舎の外があります。

海。

食。

自然。

森。

地域の店。

これから見つける、

さまざまな場所。

だったら、

宿そのものだけで、

旅行体験を全部提供する必要はありません。

いすみを楽しむための拠点になる。

それでいい。

島根で印象に残ったのは、「移動そのもの」も旅だったこと。

出雲大社から日御碕へ。

玉造から別の場所へ。

石見銀山へ。

目的地から目的地へ向かう途中にも、

景色があります。

町があります。

地域があります。

いすみでも、

宿泊者に、

「この部屋で一日過ごしてください」

ではなく、

ここに泊まって、外へ出てほしい。

海へ。

食事へ。

地域へ。

そして夜、

旧教員宿舎へ戻ってくる。

そういう宿にしたい。

高級化しない。

もちろん、

清潔にはします。

ベッドも必要。

水回りも必要。

安心して眠れる場所にする。

でも、

新築ホテルと同じものは目指さない。

昔の宿舎だった雰囲気。

部屋の余白。

建物の古さ。

必要なら、

それも宿泊体験の一部にする。

宿泊客が来れば、建物の外にもお金が流れる。

ここも、

宿泊をやりたい理由の一つです。

賃貸なら、

基本的に住む人から家賃をいただきます。

宿泊なら、

外から人が来ます。

そして、

宿泊者は、

食事をする。

買い物をする。

観光する。

地域のサービスを使う。

島根を旅行した自分自身が、

まさにそうでした。

蕎麦を食べる。

宿に泊まる。

地酒を見る。

神社へ行く。

施設へ入る。

一人の旅行者が、地域のいろいろな場所へ少しずつお金を落とす。

旧教員宿舎への宿泊も、

その入口にできないか。

「泊まりたい宿」ではなく、「行きたい場所にある宿」。

もちろん、

宿自体も魅力的にしたい。

でも、

それ以上に、

いすみに行きたい。

だから、

そこに泊まる。

そんな順番もあっていいと思っています。

今回の島根旅行で、

場所から場所へ移動しながら、

改めて感じました。

宿泊は、建物単体の商品ではない。

地域で過ごす時間の一部です。

旧教員宿舎の古い一室。

ここを、

いすみを旅する人が、

一日の最後に戻ってくる場所にする。

それが、

この建物に与えたい、

新しい役割の一つです。