古い物を活かしたいが余命の考慮は必要。
旧教員宿舎は、
築46年です。
その屋上に、
250万円。
330万円。
445万円。
場合によっては745万円。
そうした金額をかけて防水する。
ここまで読んだ人の中には、
こう思う人もいるかもしれません。
「そこまで古いなら、もう壊した方がいいのでは?」
とても自然な疑問だと思います。
私自身も、
このプロジェクトを始めてから、
何度も考えています。
築46年=寿命なのか。
不動産を見るとき、
築年数は非常に分かりやすい指標です。
築5年。
築20年。
築46年。
数字が大きくなるほど、
古い。
でも、
建物全体が46年間、
同じ速度で劣化するわけではありません。
防水は交換できます。
給湯器も交換できます。
ポンプも交換できます。
内装も直せます。
配管も必要に応じて更新できます。
つまり、
建物には、
交換できる部分と、簡単には交換できない部分がある。
ここを分けて考える必要があります。
今回、屋上防水に数百万円をかける意味。
例えば、
B社の見積もりでは、
既存シートを撤去。
下地を調整。
目地を打ち替え。
平場には通気緩衝工法。
立上りには密着工法。
ドレンも交換。
脱気筒も新設する。
つまり、
単に雨漏りしている一点へ接着剤を塗るのではなく、
屋上の防水機能そのものを再構築する工事
です。
中様邸防水工事内訳明細書2.pdf
C社も、
既存シート撤去、
下地調整、
ドレン交換、
脱気筒、
平場通気緩衝、
立上り密着という構成です。
2026.5月 御見積書 中 賀史様.pdf
だから、
250万円や330万円は、
単なる「修理代」ではありません。
この建物を今後も使うための設備更新費
と見ることもできます。
では何年使えれば、250万円は高くないのか。
仮に、
250万円の防水工事をして、
10年間使えるとします。
単純計算なら、
年間25万円。
20年なら、
年間12万5,000円。
330万円なら、
10年で年間33万円。
20年なら、
年間16万5,000円。
もちろん、
実際の投資判断はこんな単純計算ではできません。
防水以外にも修繕は必要です。
そして、
施工したから必ずその年数使えると保証できるわけでもありません。
でも、
「250万円もする」
とだけ見るのと、
「この建物を今後何年使うための250万円なのか」
と考えるのでは、
意味が変わります。
新築と比較してみる。
旧教員宿舎には、
すでに、
3階建ての建物があります。
12戸の部屋があります。
延床約621㎡の空間があります。
基礎もある。
柱もある。
壁もある。
階段もある。
屋根もある。
これだけの建物を、
今ゼロから作るとしたら。
当然、
500万円ではつくれません。
だから、
今ある躯体を使えるのであれば、
屋上防水に数百万円かかったとしても、
経済合理性が出る可能性があります。
ただし、「古い建物を残すこと」を目的にはしない。
LISONO LIFEは、
古いものなら何でも残そう、
という会社にしたいわけではありません。

危険な建物を、
「歴史があるから」
という理由で使い続けるつもりもありません。
必要な修繕費が、
その建物から将来得られる価値を大幅に上回るなら、
壊すという判断もあり得ます。
重要なのは、
古いか新しいかではなく、まだ使えるのか。
そして、
使うために必要な投資を回収できるのか。
です。

500万円で買った建物に、何百万円も修繕する。
一見すると、
矛盾しているようにも見えます。
でも、
500万円というのは、
完成した商品を買った価格ではありません。
以前の記事でも書いたように、
私たちが買ったのは、
ある意味、
「素材」
です。
そこに、
250万円かけて屋上を守る。
井戸を直す。
浄化槽を直す。
使える部屋から再生する。
そして、
賃貸。
宿泊。
RV。
店舗。
少しずつ収益を生み出す。
そこまで含めて、
初めてこの500万円の物件が、
「安かったのか、高かったのか」
の答えが出ます。
屋上防水の見積もりは、その最初の試験だった。
745万8,000円。
445万5,000円。
330万円。
250万円台。
この4つの数字は、
単に防水工事の価格を教えてくれただけではありません。
古い建物を再生するということは、
「全部新品にする」のでも、「壊れるまで使う」のでもなく、どこへいくら投資すれば建物の寿命を延ばせるのかを考え続けること。
その最初の実例になりました。
あと何年使えるかは、まだ分からない。
10年かもしれません。
20年かもしれません。
もっと長く使えるかもしれない。
今の段階では、
その答えは出せません。
ただ、
一つだけ思っています。
築46年だから役割を終えた。
そう決めるのは、
まだ早い。
かつて、
教員の方々が暮らしたこの建物。
次は、
DIYをしながら暮らす人が住むかもしれない。
いすみを訪れる旅人が泊まるかもしれない。
小さな商いが生まれるかもしれない。
森には、
車で旅をする人が来るかもしれない。
屋上を直すというのは、
単に雨漏りを止める工事ではありません。
この旧教員宿舎に、もう一度時間を与える工事。

そう考えています。
そして、
この建物が本当にあと何年使えるのか。
その答えは、
これから実際に使いながら、
このJOURNALに残していきます。

